相続税の計算は結構複雑。でも、多くの方が気がかりなのは、はたして相続税はかかるのかどうかではないでしょうか。
ここでは、相続税がかかりそう、かからなさそう、をざっくり知りたい方のための3ステップをご紹介します。
遺産の金額をざっくり集計しましょう。
本当の計算は、もっと複雑ですが、ざっくり把握するときにはこの方法で。
土地だけ、ちょっと手間がかかります。
預貯金・・通帳から残高を合計
株や投資信託・・証券会社から送られてくる残高報告書の残高を合計
生命保険・・保険金の合計から、相続人の人数×500万円を引きます
建物・・毎年5月か6月に送られてくる固定資産税の納税通知書に書いてある「評価額」か「価格」を合計
(「課税標準額」ではないので、注意!)
土地・・
① 毎年5月か6月に送られてくる固定資産税の納税通知書に書いてある「地目」をチェック
「宅地」の場合、②に進みます。「宅地」でない場合、専門家にご相談ください。
② 国税庁の「財産評価基準書」のサイトをみます。
http://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm
調べたい土地の都道府県をクリック
「評価倍率表(一般の土地等用)」をクリック
調べたい土地の市区町村をクリック
その町(丁目)の宅地の欄に、「1.1」とか「1.2」とか数字が書いてあったら、固定資産税の納税通知書に書いてある「評価額」か「価格」にその数字をかけて計算終了!
「路線」と書いてあったら、最初のページに戻ります。
調べたい土地の都道府県をクリック
「路線価図」をクリック
調べたい土地の市区町村をクリック
調べたい地名をクリック(複数ページあるときは、適当でOK)
ページが違うときには、左側の接続図で該当するものをクリック
調べたい土地の前の道に書いてある数字を確認します。数字は千円単位です。例えば「230D」であれば、230,000円です。
この金額に、固定資産税の納税通知書に書いてある「地積」の㎡数をかけて計算終了です!
(上物が貸アパートだったりすると、そこから減額があったりしますが、それはまた別の機会に。)
マンションの場合、固定資産税の通知書の数字がマンション全体だったり、自分の部屋の分だけだったり、市区町村によってまちまちなので、注意しましょう。
このほかに財産がある方・・例えば、上場していない会社の株などは計算がとても複雑なので、税理士に相談しましょう。
相続税には、基礎控除額というものがあります。
3,000万円 +(一人600万円×相続人の人数)
です。
(正確には、相続人の数ではなく、法定相続人の数ですが、これはまたの機会に。)
例えば、亡くなった方に、奥様とお子様2人いらっしゃった場合には、3,000万円+(600万円×3人)で、4,800万円になります。
さあ、判定です!
ステップ1で計算した遺産の総額
▲亡くなった方の借金
▲ステップ2で計算した基礎控除額
この金額がプラスであれば、申告は必要で、相続税も発生する可能性が高いです。
この金額がマイナスであれば、申告は不要で、相続税も発生しません。
ただ、あくまで概算の計算なので、微妙なときには、税理士に相談しましょう。
また、過去に贈与を受けたことがある方は、これも考慮に入れる必要がありますので、下の算式を参考にしてください。
ステップ1で計算した遺産の総額
▲亡くなった方の借金
+相続人が3年以内に通常の贈与(暦年課税)により受けた財産額
+相続時精算課税という方法での贈与により受けた財産額
▲ステップ2で計算した基礎控除額
亡くなった方がお住まいになっていた土地や事業に使っていた土地については、一定の要件を満たすと大きく減額できる特例があります。小規模宅地等の特例といいます。
詳しくは別の機会に解説しますが、この特例は、影響額が非常に大きいものですので、ステップ1の金額が大きく減ります。
ただ、この特例は申告書の提出が要件ですので、この特例を受けることでステップ3の金額がマイナスになるときには、相続税はでなくても、申告は必要です。
作成日: 2017/03/28クオリス代表村本 政彦
大手会計事務所で、約20年にわたり、主に事業承継、組織再編などのアドバイザリー業務や企業オーナーの相続税申告業務等に従事しておりました。
長年にわたり培った豊富な経験と幅広い知識を生かして、これからもお客様に的確なアドバイスをしていきたいと思っている一方、「お客様の現状を正しく分析し、今なにが必要かを考え、お客様を適切に導くこと」、言葉では単純なことのようにも思えますが、ときに難しく、長年携わっていても、新しいお客様をお迎えするたびに新たな気づきがあります。
これまでの経験と知識だけに甘えず、なにが必要かを本気で考え、さらにお客様へ貢献していけるよう精進してまいります。
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