相続税の計算は、実は結構複雑なんです。
でも、計算の考え方がわかって、金額の影響が大きいポイント項目を押さえれば、おおよその計算はできます。
1.相続税の計算は結構複雑。でも一つ一つちゃんと見ていけば大丈夫!
この図が相続税の計算の概要図です。
ちょっと複雑に見えますが、考え方がわかれば、そうでもなかったりします。
一つずつみていきましょう。
上の図をプリントするか、別画面で見ながら読んでくださいね。
まず、「遺産の総額」を集計します。
(それぞれの遺産をどう評価するかは、また別の機会に。)
そこから、非課税財産等を引きます。
非課税財産の代表的なものは、死亡保険金の非課税(相続人の数×500万円)ですが、この他にも、日本赤十字社などへの寄付された相続財産などがあります。
亡くなった方が住んでいた土地や事業に使っていた土地などは、小規模宅地等の特例という制度が適用できることがあります。
例えば、亡くなった方が住んでいた自宅の土地を奥様が相続した場合には、330㎡までの分が80%OFFになります。ただし、特例を受けるためには、申告が必要です!
(この要件など、詳しくは別の機会に。)
遺産総額から、非課税財産と小規模宅地の減額特例を引き、さらに借入金などを差し引くと、「正味課税遺産額」が計算できます。
亡くなった方から過去に贈与を受けている場合には、相続人が3年以内に通常の贈与(暦年課税)により受けた財産額と、相続時精算課税という方法での贈与により受けた財産額を加算します。
加算したものが、「課税価格」となります。
この課税価格から基礎控除を引いたものが、税率をかけるもとになる「課税遺産総額」です。
基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)です。
例えば、亡くなったのがご主人で、奥様のほか子供が2人いる場合には、3,000万円+600万円×3人で、4,800万円となります。
遺産総額がこれ以下であれば、相続税がかかることもなく、申告する必要もありません(小規模宅地等の特例を利用する場合は申告必要!)。
次に「課税遺産総額」に税率をかけていきますが、そのままかけるわけではありません。
実際に相続する財産額に税率をかけるわけでもありません。
全体の財産額を、仮に、法定相続分で分けたものとした場合のそれぞれの財産額に、税率をかけていきます。
(法定相続分については、また別の機会に。)
税率は、超過累進税率(財産額が一定額を超えると、超えた分だけ次の段階の税率を使用)なので、速算表を使うと便利です。
計算した税額を合計したものが、「相続税の総額」です。
これを実際に相続した財産額であん分します。
亡くなった方の妻や夫がいる場合、通常、控除で最も大きいものは、配偶者の控除(正確には「配偶者税額軽減」といいます。)です。
配偶者が取得した財産は、全体の半分と1億6000万円のいずれか大きい分まで、ここで差し引けるため、配偶者は、半分まで、あるいは、1億6000万円までの財産を取得しても、相続税はかからないことになります。
いかがでしたでしょうか。読んでいられない、思わず読み飛ばしてしまったという方のために、金額的な影響が大きいポイントを挙げます。
ポイント1 基礎控除
基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
遺産がこれ以下であれば、相続税はかからず、申告も必要ありません。
ポイント2 小規模宅地等の特例
要件を満たすと、例えば、亡くなった方が住んでいた自宅の土地であれば、330㎡までが80%OFFになります。
(この特例は申告が必要です!詳しくは別の機会に。)
ポイント3 税率
税率は、全体にかけてはダメです。遺産を法定相続分で相続したものとした場合のそれぞれの取得財産の金額に、それぞれ税率をかけて、合計します。
ポイント4 配偶者税額軽減
配偶者が相続した財産は、全体の半分と1億6,000万円の大きい分まで差し引けます。
ご主人が亡くなった場合には、半分までなら、奥様には税金がかからないことになります。
作成日: 2017/03/28クオリス代表村本 政彦
大手会計事務所で、約20年にわたり、主に事業承継、組織再編などのアドバイザリー業務や企業オーナーの相続税申告業務等に従事しておりました。
長年にわたり培った豊富な経験と幅広い知識を生かして、これからもお客様に的確なアドバイスをしていきたいと思っている一方、「お客様の現状を正しく分析し、今なにが必要かを考え、お客様を適切に導くこと」、言葉では単純なことのようにも思えますが、ときに難しく、長年携わっていても、新しいお客様をお迎えするたびに新たな気づきがあります。
これまでの経験と知識だけに甘えず、なにが必要かを本気で考え、さらにお客様へ貢献していけるよう精進してまいります。
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